ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

ブログ

杉本博司氏に高評を仰ぐ

 

「摺箔」のほぼ完成を機に、敬愛する杉本博司氏に高評を仰ぎたくメールをした。早速、返事をいただき、先日わざわざのご来駕いただいた次第である。誠に有り難い、感謝。

私は年始の挨拶もそこそこに、おもむろに「摺箔」波図を彼の前に広げてみせた。その瞬間、彼の眼光が鋭くなったのを、私は見逃さなかった。あの目つきは良いものを見つけた時の彼の反応である。

7〜8年前「正倉院裂」を手に入れ、彼に見せびらかした時と同じ目である。「気に入ってもらえたな!」と直感したので「摺箔」の技法や素材の説明をしたが、彼の返答は「ウン、ウン」を繰り返すだけで頭の中では別のことを考えていることはすぐにわかった。きっと杉本流の「摺箔」活用法を考えているに違いないと判断する。

私の喉は話し続けるのがキツイ状態なので、用件だけを彼に伝えようと懸命に声を出した。「ぜひパリでこの摺箔を披露したい、どうかお力添えをお願いしたい。」しかし、相変わらず「ウン、ウン」と言うだけで上手く誤魔化されてしまった。結局、具体的な話には至らず、別の話題へと進んでしまった。これで一応、杉本さんの審美眼には合格したが「摺箔」の技法にはまだまだ「奥」があり、自分で納得するものが出来上がるには1〜2年は掛かると思う。

さらに深めて日本の伝統的な染色技法の一つ「摺箔」を現代の「美」として欧米の目利きに評価を問うつもりである。

齋藤織物の事

アトリエと称している齋藤織物の社屋は40年の時を経た。コンクリートの射ち放ちは、見た目は美しいがメインテナンスにお金がかかる建物である。

コンクリートは固そうだから、雨風をしのぐにも冷暖房の効果も高そうだから安心していたが、雨とカビに弱いとは知らなかった。外壁に雨水が残り、黒ずんだカビで汚れる。4〜5年に一度は撥水ワックスをやり直したり、雨漏りの原因を調べるにも手がかかる。そんなことで外壁をリニューアルすることとなった。

隣近所に騒音の迷惑を承知で、外壁に金属板を貼る方法を採用したが、出来栄えやいかに?

あまり齋藤織物に関するブログを書かない。その訳は、織物の製造過程で一旦、手順が決定されると私の出番があまりないというのが実態である。配色は勿論指示するが、一旦織り始めると2〜3週間、織り上がるのを待つだけである。従って、最初の準備段階で私の仕事は終わってしまう。このまま行けば帯屋としての西陣織は死語になってしまう可能性があると心配している。まして手織り帯などは「絶滅危惧種」といっても過言ではないが、私はあくまでも「Made in. 西陣」であり続けたいと思っている。

 

 

ぎをん齋藤の振袖

今回久し振りに振袖を数枚、作ってみた。

 

ぎをん齋藤の振袖には3つのコンセプトがある。まず大切なのはいつ見ても見飽きない感動である。2番目は袖を短くしても訪問着として使える事。そして3番目は価格は100万円を目指して作ること。

振袖は模様を描く面積が訪問着の約3倍はあるので贅沢に作れば数百万円の高価なものになってしまう。かといって安易な作り方をすれば数年経って見たときに「ア〜!こんなもの、着れない」という結果になるから、それはぎをん齋藤の流儀ではない。

 

お母様が成人式のとき着ていたものをお嬢さんが着れるというのは、大変素晴らしいことだと思うのだが、先日着付けをしている人から聞いた話だと、お母様が着ていた古いものを自分が着ていることを恥だと思っている若い人がいるという。

 

若い人にはTシャツを選ぶのも振袖を選ぶのも同じかもしれないが「かわいい!」の一言で物の良し悪しを決定するのは軽率だ。もし変身願望を満足させるだけのつもりなら買わずにいっそレンタルの方が合理的だと思うが、もし買おうと思うなら、それなりの見識のある人の意見を聞くのも大切だ。