ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

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心地良い空間

人が心地良いと感じる空間の好みは様々である。しかし多くの人は海風に身を任せて、波の音を楽しめる場所を好むのではなかろうか。

私もまさにその一人である。3年ぶりに夏休みを取って沖縄に出かけてみた。と言ってもまだ水に入れる体調ではないので、専らホテルのカフェからビーチを眺めることに終始したが、広く開口された窓から吹き込む西風に身を委ねる心地良さは格別であった。

京都育ちの私には海景は京都の町家文化とは真逆の美しさを感じる。

狭く閉ざされ凝縮された人工美に対して、地球の果てまで開かれた自然空間の開放感は鮮やかな陰陽を描き出す。

幸い天候に恵まれ、滞在中は珍しく晴天続き、身も心もリフレッシュして帰京すると、やるべき仕事が山のように待ち構えていた。

Signature誌

ダイナースカード会員向けの季刊誌「シグネチャー」に現在開催中の細見美術館「布の道標」展を紹介する記事が掲載されている。

ライターのH女史は染織への造詣が深いとみえて「綺羅星、、」に使われている「綺」や「羅」が織物の名称だとご存知であった。

「羅」は現在でも織られているが「綺」は正体不明の織物である。明時代に書かれた「天工開物」には得体の知れない織物がいくつか掲載されていて、当時の中国がいかに高い技術にあったかを示している。

12年ほど前、中国、湖南省にある「馬王堆遺跡」から発掘された「羅」を現地調査し、復元した経験があるが、細い糸が使われていた羅織が紀元前1世紀のもとは及びもつかない精緻なものであった。

織物後進国であった日本は8世紀をピークにこれといった技術は開花しなかったと推測できるが、その訳は謎である。逆に中国では刺繍以外の染色品が発展しなかったのは染めに必要な良質な水が得られなかったのではないかと想像している。

ホテル建築ラッシュ

祇園地区でのホテル建築ラッシュに驚かされる。

いつだったか忘れたが新門前界隈にレンタルきもの店が急増しているブログを掲載したが、今度はホテルの乱立である。急増する外国人観光客を当て込んで小規模ホテルが雨後の筍の如く出来つつある。

我が家の真向かいにも高さ制限いっぱいの五階建てが近々オープンするらしいが、縄手通りの四条まで僅か2-300mの距離に3軒の新しいホテルが着工されているらしい。流行の京町家を利用した宿泊施設まで数えると半径200m以内に8軒もできると聞けば誰でも驚くに違いない。

まあ空き家のまま放置されるよりはマシだが、行政の観光推進策と二人三脚で外国人投資家も含め、ホテルの急増は驚きと同時に脅威である。

ぎをん齋藤のある新門前通りは以前から「歴史的保存地区」の指定がされているが規制基準が緩すぎる。庇と瓦屋根、壁土を施せば基準を充たすというのはあんまりだ。

京都は本来「職人町」である。昔から京都人同士でも「あの人は何々を作っている人」という安心感で繋がっているコミュニティである。それが壊されてしまうのが恐ろしい、と同時に伝統文化の危機である。