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2015年/09/30

昭和初期に発刊されていた「もくろく」という不定期誌があったのを知る人は少ないと思う。今で云うと「オークション出品カタログ」といえば理解してもらえるだろうか。

ただ一般の人から広く品を促すのではなく特定の素封家が所有した遺品を出品するシステムなので中身は超一流(怪しい物も多いが)の絵画、書、茶道具、染織品など本を見ているだけでも充分楽しい。

現在なら間違いなくミュージアム アイテムと呼ばれる逸品がモノクロ写真で紹介さているので古美術愛好家には堪らない本である。

最近その「もくろく」を古本屋でまとめて30冊購入した、その中に美人画を3点発見したのが下のものである。
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  16世紀       17世紀       18世紀

ご覧の通り16世紀から100年ごとの着物姿の移り変わりである。

この3点の違いは髪型と帯の巾であると気がつくが細かく見ると裾綿のボリュウムが変化している。

模様のつけ方も江戸初期は肩裾に模様を置く桃山時代様式だが元禄時代になると総模様が特徴的で現代の裾模様はまだ出現していない。

洋服の300年の変化と比べてみるのも面白い。




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2015年/09/26

大阪の歴史博物館に於いて東南アジアの染織品コレクションの展覧会があり連休を利用して出かけてみる。

生憎コレクションは私の興味範囲から外れるものが多く惹きつけられるものは無かった。ただ舘が大阪城の追手門前にあり、久しぶりに外堀の大きさ、城曲輪の広大さに思わず見とれてしまった。
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この巨大な城こそ戦国時代を終焉させ平和へと導いた豊臣秀吉が黒田官兵衛に造らせた権力の象徴であり、その秀吉の辞世の歌が「難波のことは夢のまた夢」であったことをふと思い出した。

百姓の子として産まれた秀吉は戦に明け暮れた半世紀の末に掴んだ権力の絶頂期をも「夢のまた夢」と言い切る、この男の本懐はどこにあったのか興味を抱く。

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この城が築かれる以前、戦国時代と呼ばれる約100年間にどれほどの血と涙が流されたかを思うとき心はやるせない。

利益が相反する力ある者が多数存在すれば、必ず武力で相手を制圧しようとする男の悲しい性がある。その性を全て無力にする真の実力者が他を圧倒し屈服させて戦いを終わらせる。

その力が善であるか悪であるかではなく、まず血や涙を流させない状態が大切ではないか。



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2015年/09/11
入院中、暇に任せて書き留めたブログを見て多くの方から見舞いの言葉や品を頂戴して恐縮している。

お陰様で術後の経過も順調でしゃべる事の不自由もなく食べ物も誤嚥せずに美味しく食事でき有難い!とシミジミ感じている。

ただ唯一アルコール類は苦いだけで飲めないのが淋しいが、それくらいの辛抱は仕方がないと諦めている。

人間の身体は実に良くできている。あんなにひどい状態から凡そ40日で何もなかったように復元する人体のすばらしさ。

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これほど精密で然も復元力のある物体を創れるとしたら、それは神の技としか思えない。

私が学校を卒業した昭和47年当時、日本人の平均寿命は50歳であったが40年後の現在80歳に近いところまで延びた。

医学、薬学の進歩のおかげで驚異的な長寿時代がやって来たのだが、それは同時に日本人が今まで経験した事のない長寿をどう過ごしていくか、又どう死ねばいいのか試行錯誤を繰り返していく時代と言える。
 


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2015年/09/07

入院中に西賀茂の工房が水害に遭い浸水した事故の顛末が一段落となった。

そもそもの原因は屋上の排水口にどこからか飛んできたビニールが口を塞ぎ雨水が屋上に溢れ空気口に侵入し室内を水浸ししたというのが原因であった。
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一階の織工房は床上まで水が溢れ二階に保管している裂類も一部破損するという予想だにしなかった事故である。

幸い最も大切にしている正倉院裂や辻が花裂には損害は無く更紗の袱紗などが濡れたが木綿は水に強く乾燥させアイロンを掛けたら元に復元した。

工房はコンクリートの打ち放ちの耐火構造にしていたがまさか水害まで考えなかった。人生には予期せぬ不幸に見舞われる事があるだろうが最悪の事態だけは免れた。

それにしてもあの時警備会社と契約していなかったら週末の連休にどれ程の雨水が侵入していたか想像する恐ろしい。警備会社の大切さを社員一同痛感している。

12年前の入院は未歳、今年も未歳、私にとって未歳は要注意の年回りである。



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2015年/09/02

朝晩はめっきり秋めいた空気と入れ替り、つい最近までの蒸し暑さが嘘のように感じられる今日この頃である。

此方では連日の京都ブームに乗って白人観光客の姿が目立って多く、市内のホテルはほぼ満室状態、お土産物は飛ぶように売れているらしく、産業の一角は確かに明るさを取り戻した感がある。

しかし伝統産業と称される地場産業が振るわないので夜の祇園は華やかさに欠け人もまばらのまま。

私は10月1日から一週間と決まった秋の展示会に向けて着々と準備を進めている。
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中心の新作帯は西陣織完成度の一つの頂点と言うべき「摺り箔」シリーズ袋帯の出来栄えに大変満足している。

箔で構成された織地は糸とは違い異次元の奥行きと力強さを見せる、私自身が帯を締めることは無いが、こんな織物ならコレクションとして欲しいと思わせる魅力がある。

染物は刺繍をメインに新作や意欲作を順次完成に向かっている現在だが、京都以外の近隣からお越しいただくお客様のために祇園ならではのアミューズメントが何かないか捜し求めている。

お忙しい中にお越しいただくのだから一日楽しんでもらえる展示会ができるよう鋭意奮闘している日々である。



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