ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

女将思い出語り

私の子育て

祖母の懇願により大学を卒業してすぐ家業についた主人は、義父の指示で午前、午後と二度の職人廻りをする為に九時過ぎには店を出ます。カブ(原付二輪車?)の荷台前後に反物を乗せるのですが、雨や雪の日は反物が濡れないよう風呂敷とビニールに何重にもくるみ、宝物を扱うようにして出発です。

みぞれ降る寒い冬の時季、夕方、店に主人が戻ると顔も手も赤くかじかんで、目の廻りだけまるで蝋人形のように青々と血の気ない状態でした…生きていく事は本当に大変な事ですね。

そんな中でも三人の子どもたちの成長は親にとって楽しさの時間帯でした。上二人の息子と末が一人娘で、主人と私の教育方針が一致しており、男の子は地域の公立小学校から公立高校へ、娘は私立かなぁ…等とザっと大まかなくくりの教育でした。

現在の親御さんのように子どもにつきっきりで面倒をみるなどという思考は私たち夫婦にはないし、また時間もありません。唯ひたすら本だけは読むようにと、子どもたちへ主人がやかましく言ったのを覚えています。

 

子どもの教育は、体験学習が幼児期から少年期にはとても大切な事と主人も私も考えて来ましたから、小さい頃から海や雪山等に連れて行き、一緒に遊んだ事が今にしてとても貴重な思い出となっています。息子二人にはとにかく丈夫で健康な身体づくりを目指し、大学受験まではスポーツ優先の教育、娘には夕食前後の手伝いと片づけを義務付けました。

家事の後片づけは一日を締めくくる事で、完璧にする事がその日の「無事」を意味する充実感につながると私は今も理解しています。

 

おかげで今は三人の子持ちとなった娘の台所片づけは見事なもんです。

アッパレ!