ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

女将思い出語り

朋 遠方より来る

10月に入り、行動移動制限が緩和されて、京都の中もいきなり市井混雑状態となりました。経済的には大変結構な事で、観光主体の京都は、潤いを期待したいところです。

先日、主人の一周忌を料理屋さんで無事に営むことができましたが、実の所は、緩和の期待をして良いものか、心配でした。しかし、おかげさまで宴席を持つことが可能となり、ホッと一安心です。

当日は、故人の人徳か、全国から25名の学友、幼なじみの面々がお集まり頂き、50年ぶりの邂逅に対し、正に「朋 遠方より来る」の如く、懐かしい青春時代に還った時空でした。思えば、其々の人生の中で、紆余曲折、また、風雪も有ったろうと思いますが、そんな時に、我が事と受け止め、共に喜び、共に涙した絆が今日まで続いたからでしょう。

生涯の友人は、宝物ですし、主人からこの宝物を受け継いだ私は、幸福者です!

 

「友、遠方より来たる有り、また楽しからずや」

残念、無念!

10数年越しに楽しみにしていた、観世銕之丞先生の能「重衡」が、台風14号の為、上京不可で拝見出来ませんでした。実に、残念、無念の限りです!

私は、舞台に先立ち、平重衡が南都焼討した、東大寺を、孫と歴史確認の為、残暑厳しく汗だくの中、行って来ました。

二月堂西正面を、下から見上げると、17世紀に再建されてからも、その壮大な堂々とした威力は、この世のものとは思えない霊力を感じます。

能の中で、源氏に処罰された重衡が悪行により、成仏出来ず苦悩する苦しさの中で、出逢った僧に懺悔して成仏を切実に懇願する場面があります。

この懺悔の行為が我々にも、大切で、後悔しても懺悔しないのが、生身の人間の業かもしれません。

素直になる努力が必要かも…

八重山上布

今夏は、移動制限がなくなり自由に旅行が出来るようになったので、3年半ぶりに青い海を求めて、長男、次男家族と八重山諸島へ行きました。幸いにも台風にも遭わず、海も空も紺碧に輝き、久しぶりの解放感で、日常の雑念を忘れてひと時の夢心地です。

現地に着くと、私は仕事柄、早速サトウキビ畑を眺めながら、タクシーの運転手さん(高齢者)に上布について尋ねたところ、やはり、かえってきた答えは、私の想像以上に職人不足や、麻糸の品質低下、それに伴う糸をつむぐ技術継承の鈍化を、嘆いていらっしゃいました。

 

八重山着物は宮古上布や、芭蕉布など…盛夏にこの類の着物を着たら、肌の風通しが良く、涼しくて心地よいものです!

15年ほど前、主人と宮古島へ行った折に藍染亀甲上布を拝見しましたが、もう既に織り手が少なく高齢女性しかお会い出来ませんでした。

 

現在では、若い人たちがクラフト感覚で織っているようですが、何とか我々が小売業界で支えてあげなくては…と痛感します。