ぎをん齋藤
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秋の気配?

ここ二日ほど、朝目覚めると少し涼しい空気を感じます。夜も冷房をかけずに寝られるようになりました。どうやら少しずつ季節が移り変わっているようです。

日中は相変わらずの蒸し暑さで、多少気温が下がっても暑いものは暑い!という感じですが、陽が落ちるのが早くなって来たり、西日の傾き方で秋の気配を感じるこの頃、意外と着物に良いシーズンが来たか?などと都合のいいことを考えたりしてしまいます。

今日は秋の気配を感じる着物を一つ、ご紹介させていただきます。

いつもは引きの画像から入るので、今日は寄ったところからご紹介です(^^)

淡い朱の地色にオーソドックスな手描き友禅の手法で菊を描いております。花の糸目の太細や、花びらの重なりの不均一なところに手描きの味のおおらかさ、温かさのようなものを感じます。

菊の根元に広がる白い雲は何か、と申しますと…

扇の地紙の柄になっていました。雲取りとか、霞取りになっております。

お花は藤、菊、橘に、牡丹、水仙、杜若など、四季とりどりのモチーフがちりばめられています。

この画像では分かりにくいですが、裾に向かうほど地色が濃くなるぼかし染めが施されております。

こちらの方が少し分かりやすいでしょうか…

ポイントは「色数の少なさ」です。挿し友禅で彩色を施す職人の気持ちからすると、一つ一つのお花ごとに違う色を使いたいし、扇のくしや地紙の色も、多少の濃淡や色の違いをつけて奥行やリズムをつけたくなるのですが、敢えて色数を限界まで抑えて、可能な限りシンプルに作ってあります。

扇の大きさとも関係しているのですが、基本的に色数が増えれば増えるほど全体の統一感を整えるのが難しく、全体にごちゃごちゃと「騒がしい」印象になってしまいます。また、素晴らしい舞台には輝かしい主役とそれを支える名脇役がいるのと同様に、すべての柄が「私こそ主役!」と言わんばかりに主張し出すと、絵として一番に見て欲しい「ポイント」が行方不明になってしまうのです。

 

もし、この状態で「綺麗だけどちょっと寂しい」「もう少しだけ華やかにしたい」とお感じになる場合は、白いお花を金彩で縁くくりしたり、色のお花の一つか二つに同色の刺繍を重ねるなど、プラスアルファの加工代で味付けを加えることも可能です。

季節は問わない柄付けですが、地色は何となく秋色かな…と個人的に感じましたので、秋の訪れとともにご紹介させていただきました。

19日(土)からの秋の京都展も間近に迫りました。ご来場をご検討中の方はぜひ、弊店スタッフにご相談くださいませ。