ぎをん齋藤
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田中創造

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京都・祇園の老舗呉服店『ぎをん齋藤』で、営業・制作に携わっております。古典に学び現代に活きる、オリジナルきもの・帯の創作舞台裏をお届けします。


~お問合せ~
ぎをん齋藤 田中 創造(たなか そうぞう)
☎ 075-561-1207 または 090-8880-1894(直通)
✉ gionsaito-tanaka@outlook.com

陳列会前夜

半世紀に一度の大改修工事を終え、新装開店した店舗で初めて開催する「第73回京都陳列会」まで、あとわずかとなりました。店では連日、お客様をお迎えしてお楽しみいただく為の準備に勤しんでおります。

直前には二度の三連休があり、十分に英気を養う時間もいただきました。私、田中は高島屋さんに刺繍の展覧会を観に行きました。明治・大正期に海外へ輸出する目的で、時の政府からも後押しを受けながら制作された「刺繍絵画」と呼ばれる超絶技巧の作品の数々が展示されていました。

こちらはチラシの写真を引き伸ばしたものですが、獅子の毛並みの艶感や微妙な陰影など、思わず写真かと見紛うほどリアルに表現されています。ミリ単位で刺繍糸の色や太さ、縫い方に変化をつけながらのことと思いますが、これは厳密な下絵があっても縫い手の方に相当な「絵心」がなければ作れないものでしょう。

ぎをん齋藤の抱える職人たちの中でも、鳥や動物の刺繍をさせたら天下一品の職人がおりますが、お話を伺っていると若かりし頃に相当な量の動植物のデッサンを重ねていたことが分かります。そうして育まれた「絵心」が、他の(当然ながら一流の)職人には真似のできない、小さな生命の躍動感や温かみすら感じさせる仕事をさせるのでしょう。

ちなみに上の獅子図の下絵を描いたのは、往時に高島屋の下絵職人としての仕事をしていた「神坂松濤」なる人物らしいのですが、この人は何とあの「神坂雪佳」の弟さんなんだとか。当時の京都の染織業界にタイムスリップして覗いてみたいですね(笑) どれほど腕の立つ職人たちが綺羅星のごとくひしめいていたのか…。

 

さてさて、現代の職人も負けてはいないぞ!呉服屋も頑張っているぞ!ということを見ていただきたいのが、10月1日からに迫りました「京都陳列会」ですが、今回は十数年ぶりに店表側の二階にも陳列場所を拡張しまして、より広々とたくさんの品をご覧いただく趣向となっております♪

普段は我々営業マンの詰め所になっており、とてもお見せできるような状態ではないのですが、ようやっと片づけ大掃除を済ませて撞木を並べるところまでこぎつけました。(既に肉体的な疲労がピークに…汗)

毎度おなじみのお客様も、このスペースには入ったことがない!という方もいらっしゃるかと思いますので、ぜひぜひ遊びにいらして下さいませ。

今日もご新規のお客様からご来場ご希望のお問い合せを頂戴したところですが、いまのところ4日(火)、5日(水)は十分なご予約の空きがございます。また、意外と2日(日)もちょこちょこ空いておりますので、ちょうどその頃「温習会に行くんだよな~」という方、ぜひ一度お電話・メール下さいませ(^^)/

新しくなった店舗で、皆様のご来場を心よりお待ちしております~!!