ぎをん齋藤
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齊藤康二

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弊社の魅力を余すことなくお伝えしていきます。
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TEL:075-561-1207
(Mail) gion.saitokoji0517@gmail.com

蒔絵付下

いよいよ今週8日から六本木で展示会が始まる。

今回のテーマでもある「金彩」の付下が最終で仕上がってきた。

地色は濃茶、菊に桐といったよくある柄行だが、金彩を施すと誠しあか

マジックをかけたかのように、突如として気品が漂う。

私が女性なら、このようなきものを着てみたい。というほど、

また悦に浸ってしまう、、、

まあ、冗談に聞こえるかもしれないが、ものづくりとはそうゆうことで、

作り手として自分がいいと思うもの、そして着てみたいという気持ちになるような、

自己の気持ちが満たされるものを作り出さないといけない。

自分勝手な解釈ではあるが、この満足を共感していただいたら幸いに思う。

神業!

今、特に金彩に拘っている。

とりわけその金彩の仕事ぶりは見事で、気品漂う雰囲気があり見る者を

吸い寄せる魅力を放っているのである。

大げさと言う方もいるかもしれない、しかし一見すればその違いは

一目瞭然というやつである。

また、今回の訪問着は新しい生地、「光悦」を使った、この生地の特徴は

表面に絣のような表情があり、風合いはしっとりとしながら程よいはりもある

すばらしい生地で、染め上がりも色の艶がなんとも言えない魅力的な色調を出す。

これに今回は桃山の「蒔絵」を再現した。

地色は朱茶、顔料で菊や桐、紅葉の朱を基調に表現し、あとはそのすばらしい

金彩で蒔絵を表現している。

兎にも角にもみていただきたい、この素晴らしい蒔絵の再現を。

写真の都合で少し青く写っているが、地色はきれいな朱茶である。

特に今回の東京六本木ではこれらの金彩を一挙お披露目させていただく。

ぜひ、日本の伝統技法を堪能してください。

 

 

 

扇面流図屏風の染帯

扇絵を屏風に貼って小画面を嗜む趣向は室町からと言われている。

本図のような構成は「宗達派」の作品が主に知られているところだが、

この画風は琳派とは異なる点があり、大きく表現された橋やその王朝風人物は

十七世紀初頭、江戸の風俗画によく登場する扇面画といえる。

また、雲や松、各扇面に施されているのは平安時代中期から伝わる金箔、切箔、砂子といった

「金彩」の技法が多様され、優美な情趣を一層引き立てたすばらしい作品である。

 

<六曲一隻 紙本金地 十七世紀初頭>

 

今回はこのすばらしい屏風を精好(せいごう)という張り、艶のある上品な生地で染帯に仕上げた。

<精好濃紺地扇絵染帯>

いかがでしょうか、この生地特有の艶のある染上がり。

扇面には雲、松、橋、そして王朝人物と当時の扇絵らしい表情を色濃く伝えられたと自負する。

今回の「テーマ」は平安時代から始まり、桃山文化でその魅力が開花した「金彩」、

特に室町・桃山から江戸初期にわたりその技法や表現力は代表となる摺箔、

そして切箔、砂子、金銀箔など、多種多様な表現で刺繍にはない煌びやかな世界を作り出している。

江戸の風俗画を主に「金彩」であしらったこの染帯、

どうぞ一度ご覧ください。