ぎをん齋藤
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田中創造

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京都・祇園の老舗呉服店『ぎをん齋藤』で、営業・制作に携わっております。古典に学び現代に活きる、オリジナルきもの・帯の創作舞台裏をお届けします。
~お問合せ~
ぎをん齋藤 田中 創造(たなか そうぞう)
☎ 075-561-1207 または 090-8880-1894(直通)
✉ gionsaito-tanaka@outlook.com

殿上の雅

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、お彼岸を前に秋の訪れを感じる京都です。みなさまダブル三連休の第一弾はいかがお過ごしでしたでしょうか?

私は土曜日はお仕事のローテーションでしたが、日曜日には岡崎・細見美術館さんに『京都の御大礼』展を観に出かけて参りました。

田中は昭和の終わり頃の生まれですが、平成への改元の記憶というのは残っておりません。そういう意味では初めて目の当たりにするであろう来年の改元を前に、これは是非予習しておかなくては!という訳です。

 

過去の即位式や行幸の様子が描かれた屏風や、式典にまつわる様々な資料が展示されており、宮廷の雅やかさが視覚的に伝わって来ました。

 

そういった儀式や宮中の行事などの知識に精通した者のことや、教養や才芸に優れた人のことを『有職』と呼びますが、有職の人々が身に着ける衣裳に用いられた文様のことをまた『有職文様』として、現代のきものや帯に活かされています。

ところで、恥ずかしながら今更に『源氏物語(谷崎訳)』五十四帖を通して読み進めている田中ですが、今回の展覧会に行ったことで、物語中に描かれている儀式や祭典の内容ともリンクしてイメージが再構築され、物語の新しい楽しみ方を得た気がしました。

 

きもの作りの現場では、様々な草花や器物の文様を扱うことになりますが、中でも王朝文化と直結する雅やかな文様は『源氏物語』の世界から引用されてくることも多うございます。

入社当初は「これが御簾の柄だよ」と先輩に教わり「なるほど、これが御簾か」と思っていただけでしたが、今ではこの着物を見るにつけ、源氏物語の『葵』や『野分』の帖が想起され、単なる文様の背景に宮中の雅やかさを感じるようになりました。少し大げさですが、きもの文化の奥深さですね。

 

つれづれに記事を書き過ぎてしまいました(;^_^A 本日はこれにて。

龍田川

秋の紅葉の龍田川、春の吉野の山桜、に代表されるように、はかなさを含んだ秋の風情と生命力あふれる春の雅はどちらがより勝っているか、という議論は千年以上前から続いております(現代では失われたやり取りでしょうか笑)が、涼しくなって来ると秋に一票入れたくなる田中です。

写真は塩瀬の染帯ですが、弊店の誇る金彩職人が手がけたものです。

錦の龍田川とは申しますがこれは文字通り金の龍田川です!

 

今回の秋・京都展では『金彩』の技術が一つのテーマとしてスポットを浴びることになっております。絢爛豪華、なだけではない金の魅力をぜひご覧ください。

 

第69回 京都 秋の陳列会

9月30日(日)~10月6日(土)の一週間

京都にてお待ちしております!

生地の声を聴け

こんにちは、田中です。

前回予告した通り、ものづくり関連のお話しを。

 

私も主人に新たな商品の染出し提案を行うべく、様々な白生地を前にあれこれと無い知恵を絞っております(^^)

弊店『ぎをん齋藤』は当代・齋藤貞一郎の監修の下、織物・染物を問わずほぼすべての商品を自家製造している呉服店です。

独自に抱えた染め・織りの職人集団を自在に動かし、オリジナルのきもの・帯を作る。それこそが弊店の何よりの特長と考えております。

弊店の営業スタッフは皆、主人からの指示を職人方に伝えるメッセンジャーのような仕事にまずは取り組み、その中でものづくりの手法を学ぶと共に弊店の商品の独自性、そのエッセンスを文字通り体に沁み込ませていきます。

 

主人が「ものづくりの極意」として日々私どもに伝えていることの一つに「生地の声を聴け」ということがあります。

 

曰く、糸の質や撚り方、織り組織などの異なる様々な生地には、それぞれに適した地色や加工法があり、その組合せを間違えると目も当てられないが、それらの選択さえピタリと合えば8割方完成したようなものである、と。

更に、ものづくりに習熟してくれば白生地を見ただけで相応しい色や柄が想起されるようになり、あたかも生地が「こういう色に染めてくれ」と語りかけてくるかの如くである、かくて生地の声に耳を澄ませるべし、とのことです。

 

…なかなかその境地へ至る道のりは険しそうです(>_<) が、何とか皆さまに田中発案の品をお見せできるように、知恵を絞り出します!

引き続き田中のものづくり奮闘記をお見守り下さい(笑)