ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

ブログ

巻紙

今のメール全盛の時代に巻紙に筆でしたためた手紙をくださる人が二人いる。

一人は私の茶友であり息子が一年間雲水(寺で住み込みで修行する人)をさせて頂いた大徳寺530世、泉田玉堂老師である。

もう何十年も奈良の大宇陀にある松源院で一人で暮しておられる。

老師は拙著「布の道標」の序文をお願いしたりとお世話になっているので、

時々良い裂が手に入ると袈裟を作ってお送りすると丁寧だが奔放な筆跡の巻紙を頂戴する。

昔ながらの「候文」で読み下すのも難しい。

 

もう一人はもう30年くらい前から特別な白生地を織ってもらっている「志賀松和子」さん。

信州大学の工学部を卒業されているのに、どういうわけか機織りの道に入られた異色の女性である。

現在進行中の屏風を染めるのは志賀松さんの生地でなくては上手くいかない。

男性よりも力のある生地を繭から座繰りで糸を引き手機で織って砧で叩くという最も原始的な生地の作り方をお願いしている。

志賀松さんの字体は流石に女性らしい柔らかい現代文だからすぐに読めるのだが、ゴミ箱に捨てるのが気が引ける。

私も日本人として斯くあるべしとは思うがどうしても便利なメールで事を済ませてしまう。