ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

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「茶碗の中の宇宙」展を観る。

京都国立近代美術館で2月まで開催される「楽」家の作陶展を観る。

楽茶碗といえば千家の茶道には欠かせない茶碗である。量産不可能な技法から創り出される焼物は轆轤を使わず一つ一つ大切に焼成される。

私が特に好きなのは楽家初代「長次郎」の作品で、千利休が大成した侘び茶を象徴する利休の美意識が結実した作行とも言える。

それよりも今回私が発見したのは本阿弥光悦の赤楽茶碗の素晴らしさである。
銘「加賀」,「乙御前」(おとごぜ)の2碗を観れただけでも十分収穫はあった。形、釉薬、景色どこから見ても完成度に隙がない、以前から写真では見知っていたが実物を見ないとその良さは分からなかった。

楽家と縁戚関係にあった光悦は、茶碗づくりが本業ではなく刀の鑑定を生業とするが書道、作陶だけに止まらずあらゆる工芸への美意識は計り知れない高さを感じた。