ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

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京都人の義理人情

多分、もっとも長いご贔屓を頂いているお客様の1人が先斗町の現役芸妓さん、Tさんである。私が先代の供をして行くようになったのは60年ほど前になるだろう。若い頃のTはとても怖い芸妓さんでお手入れのものをお預かりに行くと二階の階段から投げてよこすようなことは当たり前で、呼び鈴を2回押したたけでも「うるさい!」と怒鳴られた。

 

そんなTさんだが着物を買うのは「齋藤」と決めているのか、よその店では一切買わない。多少好みとは違っていても、その中から必ず選んで買ってくれる。昔から「京都は義理に熱い町」と言われているが、ここまで徹底した人は、他には知らない、と同時に頭が下がる思いがする。

 

 

京都には五花街(祇園甲部、祇園東、上七軒、先斗町、宮川町)あり、着物の好みも様々だが、きものに一番うるさいのは先斗町だと昔からいわれている。その先斗町の1番のお姐さんだから着るものに文句をつける人はいないだろうが、今の「ぎをん齋藤」で作る帯やきもので座敷の雰囲気を壊さないかのか?と心配になる。

 

昨今のネット通販が横行する時代、消費者は店との繋がりは避け、欲しいものを欲しい時に買うという人情希薄な日本になってしまった。