ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

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平成30年を振り返る。

清水寺で年末に一文字を選ぶ行事があるが、今年は「災」であった。

私の周囲では大した被害を受けた感じはしないが、西賀茂にある齋藤織物の社屋の一部が、風によって吹き飛ばされた件や、お向かいの大木が倒壊してアトリエの電線を切り裂く事故など、無事には済まなかった。更に西日本各地の内陸部に大雨が残した傷痕は甚大で、熊本城の倒壊寸前の姿も痛々しい。続いて発生した北海道地震でも大勢の犠牲者が出ると同時に日本中に大地震の恐怖感を植え付けた。

これら自然災害の為に「ぎをん齋藤」を訪れる新規の顧客や秋の展示会の来場者数も減少した。それ以外の凶事といえば私の療養生活が今年も続いた苦しさである。夏前に一度回復しかけた病状が、しなくてもいい予防注射で他の病気を誘発させる結果になり、今年も療養に明け暮れる羽目となった。

こうして振り返ってみると、総じてあまりいい年ではなかった印象がある。良い事といえば、年初めにNHKの取材番組「core kyoto」に出演して、裂の魅力を世界中に発信できたことだ。療養の身ではあるが仕事は十分にでき、古裂の新しい価値を創造できたと自認する、又後半期は「金、銀」の新しい表現を見つけることができ、商品のラインナップが充実したのも大きい。

昔から数寄者は12月に「無事是好日」の一行掛軸を床間に飾る風習があるが、今年も「無事が何より」としみじみ思う平成最後の年の瀬である。