ぎをん齋藤
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私の杉本博司論

今年の文化功労者賞に中村吉右衛門丈と杉本博司氏の知人2人が受賞されることになり大いに喜ばしいことである。

 

杉本さんは念願の美術館(?)もしくは隠居場(?)を10月にオープンされたようで重ね重ねのお目出度である。

 

私はテッキリ「杉本博司美術館」という名称かと思いきや「江乃浦測候所」という名称らしい。実に杉本さんらしいシャレの効いた装飾のないネーミングに人柄が感じられる。

 

 

彼は探究心の強い人だ。もっともアーティストと呼ばれる仕事をしている人から探究心を除けば何も残らないだろうが、彼は「人間はどこから来たのか?」「人間とは何者か」?という大きな命題の答えを求め続ける求道者である。

 

目では見えない遥か彼方に潜む真理を求め、写真や建築、舞台演出という手段を駆使して具現化を試み続けている。

 

水平線のさらに先を見るための施設「江乃浦測候所」の完成は彼にとって終着点ではなく、更なる高みを目指して多分、死を迎えるまで求め続ける通過点の一つであろう。

 

追求のために全ての資産を投じ「江乃浦測候所」を完成させた実現力を兼備した杉本さんに敬愛する弟子としてエールを贈りたい。