ぎをん齋藤
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ダイナースカード会員向けの季刊誌「シグネチャー」に現在開催中の細見美術館「布の道標」展を紹介する記事が掲載されている。

ライターのH女史は染織への造詣が深いとみえて「綺羅星、、」に使われている「綺」や「羅」が織物の名称だとご存知であった。

「羅」は現在でも織られているが「綺」は正体不明の織物である。明時代に書かれた「天工開物」には得体の知れない織物がいくつか掲載されていて、当時の中国がいかに高い技術にあったかを示している。

12年ほど前、中国、湖南省にある「馬王堆遺跡」から発掘された「羅」を現地調査し、復元した経験があるが、細い糸が使われていた羅織が紀元前1世紀のもとは及びもつかない精緻なものであった。

織物後進国であった日本は8世紀をピークにこれといった技術は開花しなかったと推測できるが、その訳は謎である。逆に中国では刺繍以外の染色品が発展しなかったのは染めに必要な良質な水が得られなかったのではないかと想像している。