ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

ブログ

最近の日常を冷静に見てみると

日本経済新聞を毎日読んでいると現在の日本経済は業種別に大きな業績の差が明確になっている。

航空会社を代表とする観光関連会社は驚くような赤字決算、かとおもえばオンライン ワークを展開するIT関連の会社は過去最高利益を上げる。

日本でこんな状態だから欧米でも同じような結果になっていると思われる。

「ぎをん齋藤」でも確実に売り上げは落ちているが社員はみんな工夫してオンラインで販売出来るよう画像の精度高めるために

照明装置を新しくして魅力的な着物と帯を撮影している。

この対応を工夫することが重要なのだ。

私のような歳になると出来のいいものは黙っていても売れると落ち着き払っているが、それは自慢にはならない。

若い人は柔軟に事に対応するのが頭と身体のトレーニングになり、次に起こるであろう惨事に慌てないで済むのだ。

私はいつぞやのブログで「「まさか」という「坂」が人生にはあるよ。」と書いたばかりだ。

人生一寸先は闇だ、何が起こるか分からない。

普段、当たり前のように日常を過ごしているが、地球を輪切りにすれば中心は火焔地獄、マグマが煮えたぎっている星だ。

そして数千万年前に大きな隕石が衝突して巻き上がった塵が太陽光を遮った為に氷河期を迎え、陸上に住む殆どの生き物は絶滅した。

この事実がもう二度起こらないという確証はどこにも無い。

実は我々人類は「砂上の楼閣」に住む哀れな生き物なのである。

だから我々は一日一日を大切に味わいながら生きていくのが最善なのだと気付く。

裂の展覧会

現在、九州国立博物館では加賀前田家に伝来している名物裂の展示会が開催されている。

これもコロナウィルスのせいで半年遅れの開催となり今月24日まで開催している。

私のコレクションの中から数点、寄託展覧されているが自分の体調を考えると太宰府まで見に行く自信はない。

また三重県津市の石水博物館でも「齋藤コレクション展」が開催予定で、こちらには新作の「摺箔」屏風も展観される予定である。

そろそろコロナ騒ぎが終息することを睨んでの開催となっているが、実際に開催に漕ぎ着けるかは不明である。

出来るだけコロナという言葉は使いたくないのだがこれほど世界中に蔓延した天災を避けて通れないのが悔しい。

悔しいがせめてこんな時こそ目新しいものに挑戦して時間を無駄にはしたくない。

着物革命の準備を怠りなく実行して21世紀の呉服業界を展望するのだ。

岩絵具で描いた「牡丹図訪問着」が直ぐに!

先月にブログで紹介した緑青、群青などの岩絵具で型を利用した「摺絵」の訪問着が案の定、直ぐに売れた。

私も出来上がりを見た瞬間から「素晴らしい、良い出来」と喜んだ作品が師走の展示会で目利きのお客様の眼にとまり早速に売れた。

こういう瞬間が物作りをする人間の至福の時で、

誰も以前に見たこともないが、直感で欲しいと思ってもらえる心の共感が仕事冥利に火をつけることになる。

お買い上げいただいたお客様に心からお礼を申し上げる。

これで「友禅染め」が最善の加工法ではなく、

顔料、岩絵具を用いた着色方法で従来には無かった迫力のある新規軸の染め物ができることが証明された。

私の眼は狂ってなかったと自信を深めることができた。

これを可能にしてくれたのは職人のSさんで年齢は私と同じ72歳である。

この技術を是非次の世代に継承してもらいたい。

彼は業界では屈指の名工で「摺箔」をやってもらっている職人と兄弟弟子に当たる。

やはり良い技術の職人にはルーツがあるのだろう。

来年3月卒業の大学生が着物の下絵の職人になりたいと「ぎをん齋藤」に入社することが内定している。

当社の第三世代の社員として真っ当な教育をする様に部下に言い含めてある。