ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

女将思い出語り

南蛮絵

16世紀初頭、ポルトガル船が日本に漂着して後、種子島より鉄砲伝来等は、私達が散々勉学してきた事ですが、それはさておき、最近、私は神坂雪佳の絵に続き、この南蛮絵に非常に興味が湧き、16世紀までの日本風土に無かった異国の感覚が、当時の日本人を大きく刺激したであろう痕跡が、私の手元の資料本に残されています。

特に漆芸品に多く描かれていて、餅箱、見台、文箱、硯箱等です。

この絵に表現されている南蛮人達の顔はおおらかで、且つ、ひょうきんで、連れている犬も猟犬ポインター犬のような日本には、居なかった犬種です。

私は雪佳に続き、この16世紀の異国の味を帯に表現したいと、多くの資料からこの絵を選び、一緒に伝来のウンスンカルタを併用しました。

さて、如何でしょうか?

神坂雪佳が大好き!

京都へ嫁いで、齋藤の家の中に昔から有る数々の古書や、明治からの着物下絵等を、眺めていると、筆の使い方や、墨の濃淡による感情や、空気感を自由自在に表現して、その時代の、のんびりとした時間の流れによる天下泰平の穏やかさを、感じます。この情景を、何とか帯に染め表現できないものか、、、と昨年より挑戦しています。

その中でも神坂雪佳の筆使いは、特に好きで、当家伝来の直筆下絵を何日も、眺めて帯に完成させました。

一番の大切なことは、生地の選定で、あの気品さを維持する基本になります。

昨年は、5点ほど作成しましたが、有難い事に、同感して下さる方に巡り会い、お納めさせて頂きましたが、この度3、4点が手元で作成途中となってます。

生業で有りながら、楽しく仕事をさせて貰う家業に心から感謝です。

人生の一コマ

新年、三が日が過ぎて、いよいよ5日から仕事始めとなります。この正月もスキー場で年齢相応の体力と気力をもって、猛吹雪中、充分に楽しめた幸せに、改めて感謝してます。

毎年の事ですが、私は、年頭に自身の年齢を考えて、やり残した事柄を消去法で、優先順位をつけ、手帳にメモ書きして、一年がはじまります。こんな人生をもう50年続けてくると、膨大な記憶の中に、忘れられない苦しさ、辛さも有るけれど、それ以上の楽しさ、喜びもあるもので、それらが其々、人生の一コマづつの画像となり、記憶の連鎖となります。

その連鎖の中に、23年ほど前、イタリアの修復学校で勉強中の次男とスイスで合流し、主人と3人でスキーを楽しんだ人生の一コマが有ります。

スイスの山並みのスケールの大きさは、日本では決して味わえない醍醐味で、若さの宝物が有ればこそでした。

 

人生の一コマでした。