蒸し暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか？天気予報によると、遅い梅雨もそろそろ明けるようですね。

また酷暑の日々がやって来るのか…と思うとなかなか歓迎する気にはなれませんが(^^;)それでも季節が移り変わってゆくことは、人生にリズムを与えてくれることと前向きに捉えて、時間の波に乗っていきたい今日この頃です。

さて、去る日曜日は私の謡のお師匠様が「敦盛」のワキをお務めになるということで、観世会館に「夏の素謡と仕舞の会」を観に行って参りました。

全く同じ役どころを、月末の社中の会で私も務めることになっておりますので、最高の勉強の機会！と思って拝見しました。とても良い勉強になったことは言うに及ばずながら、一観客としても楽しませていただきました。

能に限らず何でもそうですが、自分が関わっている物事に対する観察力や集中力というのは高まるもので、中身の濃い充実した時間を過ごしたように思います。

同じ見所に同じように並んで座っている人でも、誰かに連れて来られて前知識なく見ている人や、私のようにお稽古をつけていただいている人、もしくは出演されている能楽師さんの知人縁者…それぞれの立場で過ごす時間の意味は異なるし、番組や出演者に特別な思い入れのある人とそうでない人の間でも感じる空気や時間の色・密度は違って来ると思います。

客観的には皆で一つの舞台を共有しているように見えて、その実、居合わせた人の数だけ異なる舞台がそこには広がっていて、たくさんの物語の交差点があの舞台なんだと思うと、番組の中身からは脱線して「観賞する」という行為そのものに面白さを感じてしまったり、楽しい時間を過ごせました。

「敦盛」に因んだ着物の染め出しを提案してみようかしら、と思ったりした日曜の午後でした(^^)