ぎをん齋藤
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正倉院展を観る

先日の三十六歌仙に引き続き、9日(土)には仕事帰りに足を延ばして正倉院展へ。

着物や帯の柄でも、いわゆる「正倉院柄」というものは多いのですが、それらは正倉院宝物に由来するもので、8世紀半ばに作られたものが中心となっている訳です。

すなわち中国では盛唐~中唐の時代に重なる訳ですが、当時は中国が膨張と安定のピークから下り坂に差し掛かった頃で、日本でもまずは先進的な中国の文物を積極的に吸収しよう!という動きがみられました。

それら遣唐使によって主にもたらされ、日本では「先進的な唐の文物」と一括りにされていたものたちは、当然ながらシルクロードを辿って遥か西アジアからインド、チベットなどの様々な地域の品々が混淆されていたのです。

 

そんな訳でいま私たちが目にする「正倉院宝物」は、日本の奈良時代の遺産、でありながら同時代のアジア文化の遺物、と位置づけることもできます。

何が言いたいかと言って、とにかく見るもの見るものが「大陸的」だと感じました。味付けが濃い、と表現すればよいのか、誰もが一目で「すごい!」と感心するようなアピール力のあるものが多いです。

今回は、前日に平安~鎌倉期の、完全に国風化され切った歌仙絵を見ていたので、余計にその差が明瞭に感じられたように思いました。数百年の間に、構図の取り方や色の表現、金や銀の使い方など、これほどまでに美意識が根っこから変革されたのか、と。

そんなことを考えながら博物館を後にしました。秋の月が夜空に高く輝いていました。