ぎをん齋藤
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夏休み

残暑お見舞い申し上げます。飛び飛びの夏休みが終わり、秋冬に向けてしっかりと充電してきた田中です。

今夏は夏休みと言っても行事ごとも少なく、遠出も憚られ、暑い中マスクもつけなくちゃいけない…と必然的に家に籠ってしまいがちな方が多かったのではないでしょうか。私はその中の一人でした。

家にいればいたで、片づけや掃除をしたり、服や家具の整理をしたり、何かれとなくしている内に時間は過ぎていきましたが、その中にも面白い出来事はありました。

 

ある朝、ゴミを捨てに出ようと玄関の扉を開けると、予想もしない「ゴリゴリゴリ…!」という音と共に何かひっかかる感触があり、何か置き配でも頼んだかな?と不審に思いながら外に出ると…

何やら黒い大きな塊が玄関先で蠢いていました。うっかりひき潰してしまったか!とイヤな予感がしましたが、幸運にもひっくり返った状態でゴソゴソ蠢いており、どこにもケガは無さそうです。早朝の訪問者は不意の襲撃に抗議を主張するかのごとく、太い腹を天に向けて6本の足を不器用に動かし、何かにつかまろうと必死にもがいています。よく見ると胴体の中心線を延長したところに、ひときわ太い7本目の足、ではなく立派なツノが生えておりました。

何と何と、大きなカブトムシの成虫ではありませんか!飼われたものが逃げ出したのか、立派な体躯の持ち主です。

 

とりあえず二次災害の起きないように壁際にひっくり返してやって、ゴミを捨てて戻ってみると、今度は玄関の扉と壁のスキマにまたがってよじ登っておりましたので、やむを得ず捕獲しまして、ベランダの植木鉢に放してやりました。

当初梅の木を登ったり下りたりモジモジしておりましたが、眠いのか腹が減っているのか、どうにも元気がないので、朝食のバナナを小さく切って分け与えてあげました。

あまり果物ばっかりあげるのは良くないみたいですが、非常食としてはスイカやバナナがオススメらしいです。

様子を観察していると、しばらく食べて後、バナナに覆いかぶさる形で動かなくなってしまいました…。つつくとモゾモゾ動くので、バナナで窒息したり、死んでる訳では無さそうです。恐らく日が出て明るくなって来たので、体を休めるために静かになったのだろうと思い、そっとしておくことにしました。

案の定、しばらくすると植木鉢に穴を掘って姿を隠し、陽が落ちるまでそこでじっとしておりました。

 

夜になっても穴から出て来ないので、これはもしかすると相当弱ってるのかしら…と心配になりましたが、22時か23時くらいには穴から這い出して来て、バナナの残りにかじりついていましたので、とりあえずは安心してその日はそのまま寝ることにしました。

朝になっても鉢にいたら、裏の山まで運ばないといけないな…とか、そのまま力尽きたり、鳥に食べられたりしたら気の毒だな…とか、いろいろ考えながら夜を過ごしましたが、翌朝目覚めて植木鉢を見てみると、そこにはカブトムシも、残りのバナナも、まるで初めから存在しなかったかのように姿を消しておりました。

 

きっと深夜の内に食事を終え、体力を回復してどこかへ飛んで行ったのでしょう。

大阪の甥っ子に写真を送ってあげると、喜んで大騒ぎしていたようですが、私も久しぶりに童心に帰った気が致します。カブトムシのゴツゴツした背中の感触と、暴れると細かいトゲが指に当たって意外と痛い、彼の足の力強さを、しばらくは覚えていそうです。