ぎをん齋藤
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天鼓

おはようございます!月曜日の朝が一週間で一番辛いのは、私だけでしょうか(;^_^A

さて、芸術の秋シリーズでブログを掲載しておりますが、昨日は私が所属する「大江観正社」の秋の大会がございまして、私も久しぶりに能楽堂の舞台で謡うことが出来ました!

春の大会は例年5月に開催されますが、今年はやむなく中止に追い込まれてしまいましたので、能楽堂に入った瞬間には何とも言えず嬉しい気持ちになりました。

もちろん、会場入り口での検温・消毒の徹底や、見所の座席を大きく間隔を空けて通常の何分の一かの定員に抑え、様々な感染対策を講じた上での開催となりました。

私が務めましたのは、素謡「天鼓」のシテでございます。

「天鼓」というお話は、舞台が中国なんですが、ある夫婦の妻が天から鼓の降って来る夢を見た後に男の子を身籠り、天鼓と名付けたところ、実際に天から鼓が降り下り、天鼓が打つとこの世のものとは思えない妙音を鳴らす、ということがありました。それを聞きつけた帝が、その鼓を所望されるのですが、天鼓は渡すのが惜しく、鼓を持って山中に隠れてしまいます。

しかし、すぐに朝廷の者によって天鼓は探し出され、帝への反逆の罪で呂水という河に沈められてしまい、鼓も朝廷に取り上げられてしまうのですが…

その先ご興味のある方は調べてみて下さい。私の役は、前シテ「天鼓の父、王伯」後シテ「天鼓の亡霊」ということで、前半と後半で役の雰囲気をガラッと変えなくてはなりません。特に前半の王伯の部分、尉のゆったりとした抑揚の少ない謡い方の中に、息子を殺された無念さや恨みを覗かせるのがとっても難しく、先生にも何度もダメ出しをされて本番に臨みました。

舞台では紋付袴でしたが、まだまだ自分で着付けるのは要練習です。中身の人間よりも外側の着物が遥かに良い物なので「馬子にも衣裳」と言っていただければ良いのですが、何だか不釣り合いな気がして申し訳ない気持ちになります。

かと言って一応呉服屋の営業マンですので、わざわざ粗末なものを着るのもかえって嫌味な気もしますし…悩みどころです。もう少ししっかりお稽古に励むようにして「お稽古用」と「いざという時の勝負着物」とランクをつけられたら、自分の中でも気持ちの整理がついて来るのかも…?なんてことも考えます。

 

若造のくせに着物だけいいやつ着てすいません!芸の方も上達するよう精進します!(…田中の心の声です。聞き流して下さい…)

 

まだまだ着物が生活に密着していない田中です。皆さまのお着物ライフにご助言申し上げる立場として、これではいけませんね。日々精進あるのみです。

さて、今回は能「天鼓」についてお話しましたので、次回はそれに絡めて「鼓」や「楽器」にまつわる投稿をしようかな。鼓の着物も作ろうかな。

という事で、また後日、お会いしましょう!