ぎをん齋藤
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本日オープン!

とうとうオープン致しました!
細見美術館「美しき色、いにしへの裂~ぎをん齋藤と染司よしおかの挑戦~」展、本日から開幕となります。

10時の開館直前に参りましたら、有難いことに私を含めて4~5名の方が一番乗りで開門を待っていらっしゃいました。
開館後も続々とご来場され、この猛暑のさ中にしては素晴らしいスタートを切られたのではないかと思います。

 

開催に当たり、社内での事務的な窓口として担当しておりました田中としては感無量でございます。昨年の石水博物館さんの時も感慨深いものがございましたが、今回は「モノ」に焦点を当てるというより、それらを蒐集し、制作した「人物」に焦点を当てた展覧会ということで、前回とは違った難しさもございました。

弊社のものづくりには欠かせない存在である職人さんの所に、学芸員さんをお連れして取材に出かけたり、古裂と現代の商品・作品との関係性を説明するために「アレを見せるならコレも並べて見せたい」「この作品とこの資料を並べたら伝わるんじゃないか…」などと展示の内容に関するご相談を受けたり、がっぷり四つに取り組み、私も開催の労苦の一部を共有させていただけたように感じます。

 

内容に関しては、ぜひ会場で直接ご覧いただきたいのですが、同じ新門前通りに店を構える「ぎをん齋藤」と「染司よしおか」それぞれの先代当主「齋藤貞一郎」と「吉岡幸雄」の染織に対する「情熱」の軌跡を形にした展覧会、と言えると思います。

※写真撮影は入ってすぐの第一展示室のみ可能、他の部屋は撮影禁止ですのでご注意ください

お二人の足跡を振り返る回顧展でもあるのですが、願わくはそれが我々次世代に引き継がれ、連綿と続いていく日本の染織文化の一時代を切り取ったものとして位置づけられますように…。

 

あまりネタバレにならない程度に予備知識としてご説明しておきますと、本展の流れは大きく「吉岡幸雄と染司よしおかの制作物」~「齋藤貞一郎とぎをん齋藤の〃」~「両者の蒐集した古裂コレクション」という3部構成になっております。

陳列された作品群をご覧いただくと「吉岡フロア」と「齋藤フロア」で「別の展覧会に来たのかな?」と錯覚するぐらい印象が異なる展示に驚かれるかも知れません。

それでいて、最後の「古裂フロア」に並ぶコレクション群を見ると、逆に「一人の人間のコレクションかな?」と思うくらい、二人の興味・関心に重なる部分の多かったことも分かります。

吉岡さんフロアでは、やはり「色」へのこだわりが一番の見どころ。画像では伝わらない輝くような日本古来の色に、目が奪われます。

齋藤さんフロアには、展覧会チラシにも掲載されている「摺箔屏風」が大きな目玉(写真は過去に店内で撮影のもの)ですが、呉服屋らしく、つい最近制作したような着物・帯なども登場します。

古裂や古い資料から学び、先人の仕事に敬意を払いながら、日々のものづくりに取り組んでいることが感じ取っていただけるのではないかと思います。

 

古裂コレクションは、思い入れのある人には何時間見ても見飽きないような充実した内容ですが(田中の大好きな”くまもん”の裂も展示されています♪)その中でも「摺箔」誕生のきっかけとなった辻が花の裂は、ぜひご覧下さい。

古い時代と現代の物が入り混じりながら、日本の染織文化の豊かさ、奥深さを見るものに伝えてくれると共に、そのような文化を持つ国に生まれ、染織を生業とする家に育った二人が、自身の活動や人生そのものをどのように捉えていたか、何に苦悩し、何を目指して70年余りの時間を駆け抜けたのか…同時代を生きた二人の人間の、決して展示されることのない「頭の中」を覗く窓のような展覧会だと感じました。

実に魅力的な日本の染織文化に対する二人の先人の、鋭くも温かいまなざしを、ぜひ共有しに来て下さい。

 

※特別に許可を得て撮影、掲載しておりますが、第一展示室以外の写真撮影は禁止されております。ご注意下さい