ぎをん齋藤
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テーマに沿って

さてさて、2週連続の東京出張でございました。

今回は銀座のホテルを拠点としましたが、やはり街中の人出が激増しておりますね!活気が戻って来て嬉しく思うと同時に、感染症対策に気をつけなくては…と不安感も少し増したようです。

今回は陳列会直前という事で、当日にご都合のつかない方々にお会いするのが目的でしたが、あるお客様から事前にご提案のテーマをいただいておりました。

 

◆師走の銀座陳列会、12月8日~10日です!◆

 

それは「白鳥の湖」。そう、あまりに有名なバレエ作品のそれです。

田中はバレエには馴染みが薄く、チャイコフスキーの音楽は学生の頃から好きでしたが、チャイコの「三大バレエ作品」と呼ばれるいずれも完全には見たことがありませんでした。

ですが今回ありがたい事にこのようなきっかけをいただいたので、動画配信サイトで1幕~終幕まで全てを通してじっくり鑑賞しました。

…年を取って良い事があるとすれば、これまで馴染みの薄かったものでも何らかの取っ掛かりを見つけて、それなりに愉しめるようになる、という事がありそうです。若い頃は色んな偏見や先入観、訳の分からないプライドみたいなものが邪魔をして素直に作品に向き合えなかったり、物の見方の「物差し」の種類が少なく、目盛りも大雑把だったりして、いつも慣れ親しんでいる「楽しみ方」以外の受け容れ方を見つけられなかったりしたものですが…人間変わっていくものですね。

古典的なお着物の柄には「白鳥」のモチーフは少なく(写真は本文の内容と関係ありません)、水辺の情景についても圧倒的に「川(流水)」や「海(波)」のモチーフが多く、況やドイツの深い森と古城の雰囲気などは、ぎをん齋藤の得意とするところではありません。

ので、色々と知恵を絞って想像力を働かせて、何とかかんとかご提案にこぎつけたのですが、結果的に自分でも満足の行く組み合わせが見つかり、お客様にも大変喜んでいただくことが出来ました!

 

…今回の経験で感じたのは、こういう風に「テーマを与えられ、それに沿って考える」という事が、自分は厭ではない、という事です。着物と帯の地色や柄などの要素を組み合わせることで、様々なストーリーを(かなり具体的なところまで)暗示させることができる、しかもそれが着こなしの文化として定着している、これは世界的に見ても珍しい、恐らく他に類を見ないことだろうと思います。

こういった楽しみ方も含めて、日本の染織文化の素晴らしさを更に研究し、内外へ発信し続けて行きたいと思います!

素敵な気づきを与えて下さったM様、本当にありがとうございます(^^)/

 

※まったくの蛇足の余談ですが、二条城近くの「神泉苑」では、怪我をした家鴨さんを保護されています。
京都観光の途中にお立ち寄りになる事がありましたら、覗いてみて下さい。入口付近の高札には謡曲「鷺」との関連が記されていて、ちょっと愉快な気持ちになります(笑)