ぎをん齋藤
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「摺箔老松屏風」完成

土曜日からの秋の展示会に合わせて「摺箔老松屏風」がようやく仕上がってきた。

玄関にドンと広げて皆さんをお出迎えする設えが出来上がった。

価格も決めた金700万円、高いか安いか人によって受け取り方は違うと思うが、自分では妥当な価格だと思っている。

現在のコロナ禍でこそ不老長寿を祝う老松が相応しいテーマではないだろうか。

能舞台には「鏡板」と呼ばれる老松が描かれているが、あれは「春日神社」の松が池に映った松の姿だと言われ画法は違っていてもテーマは老松である。

「薪能」という名で薪を燃やして夜に幽玄の世界を味わう舞台があるが、あれは能の発祥が奈良県の「薪」という地名から出たもので能にしても「狂言」しても奈良とは切り離せない。

確か「観阿弥」も「世阿弥」も奈良の人だと言われている。

一方、摺箔の進展は苦労している。

「七曜」と決めたからには、何としても完成させたいが「火」が難しい。現在「金」の「龍」に取り掛かっているが迫力と躍動感が表現できるか気掛かりである。今にも龍が出てきそうな黒い雲のぼかしは上々の出来栄えだから、多分いけるだろうと楽観しているが。病気でもこの大作に取り組んでいると辛さを忘れ、黙々と生き長らえるのがありがたい。