ぎをん齋藤
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「選ぶ眼」と「創る眼」

今、たくさんのきものや帯が並べれられて、その中から「ぎをん齋藤」で扱ってもいいものを選ぶよう社員に指示すれば、キャリアの長い社員なら同じものを選ぶであろう。まあ、普通の社員なら10年、感性の豊かな社員なら5年も居れば選ぶ眼を持てる。

 

しかし、「ぎをん齋藤」で扱ってもいいものを創るように指示しても、誰も上手くは創れない。たとえ染物を製造するノウハウを熟知していても、今私が皆さんにお見せしているような物は創れない。それは「創る眼」を持っていないからである。

 

 

 

この差は何なのかジックリ考えてみると、もちろん私とのキャリアの違いは大きいが、私が特別、才能豊かだとは思わない。どちらかというと凡庸の質である。ただ、齋藤織物(株)を設立する際、慎重にプラスマイナスを検討し、プラスが多いと決心して人探しから始めた思い切りの良さは自慢できる。

 

また晩年、桃山刺繍を手掛ける際も最高の職人の最高の技術を思いっきり発揮させて自信作を完成させた。この、やる時は「思いっきり」があったなればこそだと思い返す。

 

次世代を託す社員にもこの「思いっきり」こそが成否の鍵になるのではないかと考えている。