ぎをん齋藤
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フェルメールブルーと絵の具

あのフェルメールが描いた名作「真珠の首飾りの少女」は少女がブルーのターバンをして振り返り、何か言おうした一瞬を捉えた彼の代表作である。そのターバンの青が余りにも印象的で、人はそれを「フェルメール ブルー」と呼ぶようになった。

 

 

そのブルーに使われている絵の具が「ラピスラズリ」という岩絵の具で、「アフガニスタン」だけで採れるという貴重で高価な岩石である。この絵の具を買うためにフェルメールは借金を重ねていたというから、現在、何百億円という高額な絵として売買されている実情と比べると皮肉な話である。

 

高級な絵の具といえば、日本でも江戸琳派の祖とされる「酒井抱一」が描く草花絵は「葉」の色がひときわ上品で力がある。その理由は彼が高価な「緑青」を使用していた故で、それを可能にしたのは「酒井家」という大名の家に生まれ、お金には不自由しなかったからと言われている。

 

 

良いものは高いというのは今も昔も変わらない。今、私が研究しているのは岩絵の具の染物への転用である。もちろん岩絵の具では絹を染めることはできないので固着させることになるが、昔から沖縄の紅型は顔料を絹に固着させてきた歴史があるから特別珍しいことではない。染料で染めるよりも「力」のある色になるに違いないが「どう使うか?」が研究のポイントだ。