ぎをん齋藤
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久々に入手した「辻ヶ花」

最近トンと売物を見かけない古裂の世界だが、珍しく「辻ヶ花」の売り物があったので手に入れた。

制作年代は1590年〜1600年あたり、辻ヶ花の最後期の作品だと私は見た。

その理由は生地は従来の「煉貫」(ねりぬき)が使われているが「疋田絞り」が見かけられるので「辻ヶ花」の全盛期は過ぎている。

まだ金箔が使われていないので「慶長時代」には入らない「天正時代」後期だと思う。

表具裂に使われていたと見えて3片に別れている。墨の仕上げは余り上手くはなく、絞りの技術も稚拙である。

極めて細い線が見かけられるが現在では、こんな細い「面相筆」は売られていない。

私は「天文」、「永禄」、「元亀」時代あたりの裂が欲しいのだがなかなか売り物は出ない。

文句を言い出せばきりがないが、適切な値段だから買い逃す手はない。

そう言えばNHK大河ドラマの時代背景はまさにその「辻ヶ花」全盛時代である。

あの時代にピンクの野良着や首巻を身につけているのは、どう考えても不自然だ。

歴史的時代考証がなされてなければ視聴者に嘘を伝えることになるからNHKの責任は重い。