ぎをん齋藤
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久々に巡り合った「金更紗」の名品

同じ金更紗でも上質のものは細工が細かく、金の厚みも違う。いわゆる「露金」と呼ばれ純金がふんだんに使われている。

 

加賀前田家伝来の本品は「萌葱地花蔓草文様金更紗」という長ったらしい名前が付けられ、型を使わない手書きの金更紗の中でも一級品で、同じ裂が東京国立博物館に所蔵されている。

 

 

更紗と一般に呼ばれる中でもインドで作られたもの以外にジャワ、スマトラ、インドネシヤ、バリ、シャムなど東南アジア全域で作られたものも示す。

 

私が愛する更紗は16〜17世紀に日本からの注文でインドで作られた古渡更紗である。中でも金更紗は徳川家や前田家、池田家に伝来する品々に名品が多くコレクターの垂涎の的となっている。

 

 

早速例のごとく本品を手本に帯を作ってみるつもりだが、どこまで金泥がオリジナルに迫れるかがポイントであろう。こういう作業が最も楽しく、その技術を生かして新しい品を作り出すのが仕事の妙味である。現在進行中の3月展に向けた摺箔を活用したきもの類も私の個性が存分に発揮された秀作が多く、来場者の反応が楽しみである。

 

物作りは作る楽しみが着る人に直接伝わって始めて作品の魅力が生じるのである、売ることだけを目指して作っても着る楽しみは生まれはしない。