ぎをん齋藤
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古裂蒐集家

いよいよ17日から細見美術館に於ける展観が間近に迫った。

考えるに古裂蒐集家の数は非常に少ない。あの人気鑑定番組にも古裂が登場したのは、私の知る限り二度だけのことである。一度目は中国清朝の「龍袍」、皇帝の衣装である。二度目はサラサが数点の二回のみである。

その理由を推測すると衣裳は完全な形で残っているのは江戸中期以降のものが殆どで、それ以前のものは裂になった状態が多く、額にでも入っていなければゴミと間違えられてしまう。

一般に古美術蒐集家は男性が多く、きものや裂に興味を持たないのが普通である。一方、女性は全般的に古い物にお金を使う程の興味は無さそうである。

加えて昨今、呉服業界の不振が続き私のように趣味と実益を兼ね備えた蒐集家が減少しているのも染織品の相場を下げる原因となっている。

今回のイベントで染織品の素晴らしさが認識され、鑑賞美術品として再評価されるきっかけになれば幸いである。

そういえば祖父の時代、同じ新門前通に「野村正治郎」というコレクターが「誰が袖屏風」を考案し、多くの古裂を工芸作品にまで仕立て上げた。どうも新門前通りは古裂が集まる因縁がありそうだ。