ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

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待望の新人がやって来る。

6月1日から男女2名の新入社員が「ぎをん齋藤」に入社することになった。

最近は幹部社員が面接してくれるので、私は委細は知らない。ただ、彼らを見た瞬間の笑顔や振る舞いを、10分の1秒で判断したところ、なかなか感じの良い男女だと直感した。2名とも将来は営業職を希望しているが、適性を見極めるまでは方向を決めるは難しい。ぎをん齋藤は、製造と販売という全く性質の違う業務を内包しているから、どちらの仕事をしても、一流の人間に育って欲しいと心から願っている。

 

私は、今の病後10年を自分の仕事人生の終末だと決めているので、彼らが最後の愛弟子になるかもしれない。

売ることも難しいが、魅力ある作品を作り出すのは更に難しい。よそで売られているものと似たものを作っているようではつまらない。あくまで独自性の高く、着る人を魅力的に見せるきものや帯を作り出せなければ、「ぎをん齋藤」らしくなくなる。

私は悩みながらも、何とか荒波を超えて現在に至ることが出来たが、次の世代を担う若い人達も同じ様に、紆余曲折を迎えても、知恵と努力で大成してほしい。