ぎをん齋藤
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杉本博司氏の「江の浦測候所」を訪ねる

かねて念願であった「江の浦測候所」をようやく訪ねることができた。

事前に杉本さんに連絡を入れておいたので、現地でスタッフ女性にお迎えいただき、説明を受ける特別待遇に浴した。今回の訪問先は、杉本さんの長年のテーマであった、夏至の日に海から上る初日出に超自然な何かが潜んでいる、その実像を見定めたいとの願いから発想された建物だと聞いていた。

確かにそれを目的とした装置は存在したが、それよりも、いままで同氏が写真という2次元での世界でしか表現できなかったものを、3次元の世界として現出させた一個の作品という印象を得た。特に古石にこだわり、あちこち無造作に置かれた古石は、イギリスのストーンヘンジを想わせる。

骨董趣味も、老成すると石の肌に惚れるという。

確かに若い頃は、陶芸や書画などに目を向けるが、やがて釜の鉄肌に惹かれ、最後が石肌で終わるという。京都の北村美術館の創立者、北村勤次郎氏も晩年は石の名品を蒐集され、居住スペースの四君子苑は、日本で有数の名石が保有されている。杉本さんがそこまで老成されたのであれば私はまだまだ金、銀の世界で生々しく「ギンギラギン」で対抗しようと思っている。