ぎをん齋藤
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窮極の桃山縫箔

私の物作り集大成の一つとして「桃山縫箔」訪問着を8ヶ月がかりで制作した。

コンセプトは桃山時代、淀君を代表とする戦国大名の奥方が身に付けたと思われる小袖を制作し、現在の価格でどれ程の値段になるのか試してみたいと思ったからである。

出来上がった訪問着は純金箔で「山道」を描き四季草花を「渡し縫」の総刺繍という超大作となった。

過去最高額の作品であり「看板商品」となった。

江戸時代に入ると質素倹約を旨とした徳川家康の教えを励行した大名達は贅沢なものは幕府のご意向を気にして作らせなかったと思われる。

振り替えると鎌倉、室町時代と続く武家政権は派手な贅沢を好まない、なぜなら武士と言っても戦のない時は農民暮らしを基盤としているから贅沢はできないのだ。

平安時代の様に全国の荘園から送られて来る米、金を浪費していた平安貴族達とは明らかな違いがある。

彼らの奥方はさぞ、雅でゴージャスな衣服を身に纏っていた筈だが、一点も遺例が存在しない。