ぎをん齋藤
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豊臣秀吉をめぐる不思議な縁

先日ある桃山時代の唐織裂を手に入れた。2m x 2mの長大な裂は竿通しが付けられ「風穴」(風を通す開口)が施された奇妙な裂である。

 

 

まず驚かされるのは、その色彩である。500年は確実に経過しているにもかかわらず、ご覧の通りほぼ完璧な色彩が残存している。

 

詳しく見ると能衣装として職製されたらしいが何らかの理由で幕に仕立て直されたようだ。

 

この裂の出所がまた面白い。旧蔵は三条大橋のたもとに桃山時代にはすでに存在していた「M針屋」で豊臣秀吉が、まだ木下藤吉郎と呼ばれた時代に針売りとして全国を行脚していたという伝承がある。

 

彼は行商の過程で得た戦国大名達の情報から仕えるべき武将を探し求めていたという。その結果、織田信長に白羽の矢を立て、信長の草履取りから太閤にまで登りつめた。

 

その針屋から今回出たのが「菊桐模様唐織」(太閤秀吉を象徴する模様で高台寺文様と呼ばれている。)だから余計に因縁ありそうで興味が湧く。何故?どう言う経緯で?この一枚の異様な唐織が針屋に伝来したのか?

 

裏地に雨汚れの痕があり、もしかして醍醐の花見の折、御座所に掛けられた幕ではないかと思っている。