ぎをん齋藤
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近くにあった名建築

下鴨神社敷地に隣接するように建てられた名建築を訪ねた。

我が家から徒歩5分に「旧三井家下鴨別邸」(重要文化財)が存在していたとは全く知らなかった。数週間前に新聞で報道されていたので散歩がてら訪ねることにした。

世界遺産 下鴨神社は糺ノ森の一角にあり京都の原風景と言われているが、別邸もナラの巨木が林立する中に平地を切り開いて建てられたものらしく、原野のたたずまいが色濃い。

玄関から見る一部三階建ての木造建築は明治、大正、昭和の三代にわたって建てられた旧三井家所有の建物を神社参詣の休憩所として合体移築したらしく、一種の不自然さは否めない。

庭園は庭師の作為を感じない素朴な日本庭園で、池に面する茶室は小さな滝から落ちる水音が和敬清寂を醸し出す。

主屋は縁側を広くとった書院様式で広間から庭園を一望に見渡せる。三階部分の望楼は「大文字焼き」を数人で楽しむにはうってつけのロケーションである。

杉戸に描かれた「原 在正」の孔雀図も素晴らしく、何十年もこの地に住まいしながら気が付かなかった隠れた名所が存在するのも、京都の懐の深さかもしれない。