ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

ブログ

銀座、師走展

銀座「かねまつ」での師走展も8年目、毎年、大勢の来場者で賑わう会だが私は欠席がちな、ここ数年である。

 

今年のテーマは「黄金の世界」である。ブログでも書き綴っている通り、黄金に魅せられた私は「銀」や「雲母」も加えて友禅染では味わえない世界をご覧いただきたいというのが眼目である。

 

日本の美術史上「近世」と呼ばれる桃山時代から江戸初期、本阿弥光悦と俵屋宗達が絶妙な筆さばきと華麗な金銀箔の木版絵を作り上げ、完成させたのが「和歌色紙」だが、それにも「本歌」が存在する。「本阿弥切」と呼ばれる「小野道風」の筆だろうと思われる和歌集である。

 

 

ご覧の通り、そこには「雲母」や「金泥」で描かれた笹や蔦など後世、宗達が得意としたモチーフが描かれている。このように「本歌」と「写し」の繰り返しが日本美術史を形作って来たのである。

 

新しいものを作る上で、古い良いものを手元に置いてヒントを得るのが大切で、ゼロから何かを生み出すことは難しい。

 

私自身、古裂コレクションからどれだけのヒントを得て来たか計り知れない。まして金や銀の工芸利用の歴史は古く仏教美術、漆芸、刀剣、染織など枚挙にいとまない。それらをヒントにして新しい金、銀の世界を私は展開したいと考えている。