”もの作り”とは面白いもので、通常は最終目標である”出来栄え”を想像しながら進めていく、
つまり分かりやすく言うと最終イメージから逆算し、その仕上がりから遡る作業であり
模索しながら自分の追い求める「美」に近づいていく「道のり」のことである。
以前書いたように、あらゆる工程、素材、手順を頭の中で整理し一つ一つ丁寧に
積み上げていき、最終的には思い描いた理想の「品」に仕上げていくのが本来であるが、
先ほど面白いといったのは、その道のりでふとした思わぬ出来事が起こるのである。
それはこちらの想像を遥かに超えた形で仕上がってくる偶然の産物のように、
素材自体が思いもよらない姿をこちらが意図してなかった自然な形で表現してくるような
新たな発見、私の美に対する反発か挑戦のように生まれ変わってくるのである。
これは私にも稀な体験で大袈裟な言い方になるのは申し訳ないが、驚きのあまり
「素材」本来のエネルギーに私の想像は吹き飛ばされ、感服するばかりである。
生成り地縦絣波文袋帯





この緯糸の自然な動き、上に浮き上がろうとするエネルギーをご覧いただきたい。
私の意図を覆すように反発しその存在を主張する糸は箔ではないが、それに近い品種の糸。
それについてはあまりお答えはできないが、誠に面白い個性豊かな糸(正絹)である。
◆ こちらはしゃれ袋帯、偶然の産物によってできた逸品である。