埋もれてしまった元禄小袖を切り付けにして新たな命を吹き込む。
3月に予定している六本木、武原展の為に用意している作品の一つである。
今回のテーマは6月に京都、細見美術館にて開催する「齋藤コレクション展覧会」を記念する会である。手持ちの古裂を利用して切り付けのきものや帯を展示する予定だが、その代表作として「元禄小袖きもの」を制作している。
さすがに完品を潰すのは気がひけるが、今回の裂は小袖を打敷に仕立て変えられたもので傷んでいるところは落とし状態のいいところを選んで切り付けにしている。
この時代の特徴は大胆な構図と、無地のところがない程、画面一杯に描かれた豪華な大柄模様。絞りの部分も本疋田が施され刺繍もタップリと金糸が使われている。300年前のものとは思えないほど刺繍も鮮やかに残っているのは保存状態が良かった為か。
江戸時代中期に一度きものとしての命を失った裂が再び平成の世に蘇る、ロマンを感じるのは私だけではなかろう。