女将の思い出 / 

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筆 : 女将

先代が半世紀かけて蒐集してきた室町時代から江戸時代初期の古裂が着物や帯の図柄となり、切り付ける事により、長い歴史の中で埋もれていた状態から、現代の女性たちを、喜ばせ、心を豊かにする存在に生まれ変わることは、まさに現代のSDGsを遥かに大きく超えた再生だと思います。

古裂を手にして、その古裂の生きた時代を考えながら、現在の感覚に合わせた図柄を構想している時が、作り手にとって苦しくもあり、又、楽しい時でもありますが、着物や帯の図柄として完成した時、古裂の持つ生命力を、痛感します。

古裂にも、歌舞伎演目の時代物と世話物と一緒で、古裂の表情から、各々の品格や格調の差は自ずと現れてきます。素材が木綿や麻とかの裂は、世話物風に使い、綸子や一越などは、時代物風の図柄にと、古書・文献を片手に、完成図を描き制作する過程は、手間のかかる作業です。

しかし、この古裂再生が、今の私の仕事でもあり、生きがいでもあります。

(※画像はいずれも制作途中です)

筆 : 女将