この数年力を入れてきた摺箔シリーズ帯の新作にチャレンジし帯作りの集大成にしたい。
そもそも摺箔シリーズは私が敬愛する故「徳田義三」の発想によりできたものだと思っている。箔を織り込む、いわゆる金襴織りは中国、唐時代から始まる1400年の歴史がある技法である。
紙に金箔や銀箔を膠で貼り付け短冊状に細く切ったもの横糸として織り込ませて紋様を織り出す織物は「金襴、緞子」と歌にも登場する高級織物の代表格である。用途は僧侶の袈裟がほとんどだが衣類にも使用され、現在でも袈裟や仏具として金襴を織る工芸は西陣織の主力に変わりはない。
徳田義三は金襴を複数の箔を織り込み更に織りあがったものに加色するという前衛的な手法を編み出した20世紀最大の帯クリエーターである。
現在ぎをん齋藤で展開中の摺箔帯は徳田義三の薫陶を受けたK氏の作品を復刻したもので、それらから徳田の手法を学び新たな作品の参考としたいと考えている。さてどんなものが出来上がるか「乞うご期待」。