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大城大

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ぎをん齋藤スタッフによる、染めに関わるウンチク+京都な日々をお届けします。敷居の高い印象を持たれがちな弊店を、少しでも身近に感じて頂ければ幸いです。

有職の夏袋帯

鉾建ても始まりまして、祇園祭も気候と同じく熱を帯びてまいりました。

あっつい!!

浴衣っぽい装いを掲載しようかとも思ったのですが、八坂神社の御神紋(五瓜に唐花文)を見ていたら、なんとなく有職な雰囲気に誘われまして方針変更。「鳥襷(トリダスキ)」の夏袋帯をご紹介します(”ω”)ノ

有職(ユウソク)とは端的に申し上げれば宮中や公家の教養や規範を指します。

かつては有「識」と書いて、文字通り学識の豊かさを示していた言葉でしたが、公家社会が武家に取って代わられてしまう時代背景の中で、公家にとって唯一の誇りとなっていくその伝統的な文化様式を「有職」と呼ぶようになりました。

先に述べた八坂神社の神紋(五瓜に唐花文)は「窠」(カ)という有職文様のひとつなので、「よし、今日は有職の記事!」と大城は思い至ったわけです(^^)

ついでにグイグイ脱線していきますと、この「窠」というのは地上の鳥の巣を示しているそうです。「巣」の漢字だと樹上の巣のことになるそうな。この「窠」は御簾の周囲に取り付けられた裂にも文様としてあしらわれておりまして、この文様は「御簾帽額(ミスモコウ)」といわれます。ここでピンときた方もいるかもしれませんが、この「帽額(モコウ)」が転じて「木瓜(モッコウ)」となり、八坂神社の神紋は「木瓜紋」だとか、祇園祭の間はキュウリを食べないだとかの話に繋がっていきます。はい、脱線は以上です。聞き流してください(笑)。

 

で、本題の「鳥襷(トリダスキ)」夏袋帯をアップで掲載。前置き長くてすみません(;’∀’)

色のついた部分に目が向きがちですが、白地の地紋をご覧ください。尾長鳥が二匹、尾を繋げている様子が見てとれるかと思います。このさりげない存在感が個人的には好きです。いわゆる割付柄でもありますので、今回の着物のように大きく動きのある訪問着類とも相性良く使っていただけます。そして今気づきました。この帯の配色は私が齋藤織物に指示したものになりますが、また無意識に使っていた大城の心の三原色(笑)。好きな色には抗えないようです。白芯を入れるとまた一層清涼感の出るこちらの品、お勧めでございます( *´艸`)♪♪

 

 

ぎをん齋藤・大城

gionsaito-ohshiro@outlook.com

 

末筆となりますが、この度の西日本豪雨に際して被害にあわれた方々に心よりお悔やみ申し上げます。弊社近隣でも少なからず被害が出ておりますが、こうして普段の仕事をさせてもらっている現状を改めて有難く感じます。被災地の一刻も早い復興を祈っております。大城