ぎをん齋藤
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齊藤康二

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京都東山の祇園一角に店を構えて170年余り、
呉服の専門店として自社で制作した独自の
染物・織物をこの弊店で販売しています。
ぎをん齋藤の日常からこだわりの”もの作り”まで、
弊社の魅力を余すことなくお伝えしていきます。
皆様からのお問い合わせ、ご質問などお待ちしております。

◆お問い合わせ
ぎをん齋藤 齊藤康二
TEL:075-561-1207
(Mail) gion.saitokoji0517@gmail.com

お礼と感謝

お客様各位

3月13日、武原展示会場の片付けを終え、社員全員無事に帰社しました。

昨年と同じく世情を配慮し、期間も短縮して挑んだ会でしたが

ありがたいことに二日間大いに賑わいました。

今回も制限を設け、時間も制約されましたがたくさんの方とお会いすることができ、

そして素敵な時間を皆様と共に過ごせましたこと、また変わりなくぎをん齋藤を

ご贔屓下さること、心よりお礼を申し上げます。

(大正に使われていた齊藤の暖簾と半被)展示会にて

 

さて、その会が始まる前々日、大手町にある日経本社ビルである著名な現代美術作家

S氏と、また世界的に有名なオークション会社のY氏との特別講演会があった。

ここでその方々のお名前や講演に対して意見を図々しく語るなど畏れ多く、

またおこがましいので触れはしないが、話は古美術から歴史、現代美術、

そして美意識と価値などあらゆる分野に及びすばらしい講演であった。

日本の美術を紐解き、現代に結び付け表現し、そしてまた過去の美を遡り

古美術を蒐集していく。

なんと情熱溢れるロマンチックな人なのだろうとその時直感した。

常に美を意識し、いろいろな知識を蓄え、そしてそれらを個人の自由な表現に替えていく、

まさにアーティストでありその一連の作業とエネルギーは想像もつかない。

以前私がこの仕事に就いて間もないとき、同じ町内の全国でも有名な古美術商の

店主とある夏の地蔵盆で出会った。(S氏とも深いつながりのあるY氏)

まだ初心だった私は、どうすれば貴方のように成功するのか、ときいたことがある。

その店主は一言、それはそれを好きになることだ、と簡素な言葉で返された。

今思えば重い言葉である、寝ても覚めても三度の飯より古美術が好きで、身銭を切って

蒐集し、眺め、撫でまわし、目を肥やしてより高い美意識を磨いていく。

この講演を聴いて、その好きになることの意味がやっと少し理解できた瞬間でもあった。