店主日誌 / 

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筆 : 齋藤 康二

今また改めて七代目店主 齊藤貞一郎のブログを読み返している。

きっかけはいくつかあるが、店の商品棚に平然と並べてある彼の作品を見ると

その裏にある作り手の思いが蘇り、売れていくたび尊ささえ感じるからである。

尊さというと大げさに聞こえるが、当時、一品一品”完璧”に作り上げるため毎日職人と

対峙する彼の姿を視てきた者はたぶん理解してくれると思う。

所詮、息子である私が言うと捉え方によっては今でいう”キモイ”と思う方も

いるかもしれない。笑

しかし私と父はこの会社に就職した時から上司と部下という関係になり、

社内においても私的感情は一切切り捨て、お互い冷然としていた。

それが良かったのか今もその関係は続き、父を客観的に観れるのもそのせいだと思う。

今、彼のブログをそういう視点で読み返している。

父の得意とする知的な文脈でつらつらと書かれた作家としての意見やもの作りの悩み、

かたや一変、世情に対し厳しく論ずるものもあれば個人的な感情で家族や知人の

たわいもない話もある。

それらはすべて私にとって味わい深い教科書であり、これから目指すところである。

そんな父は今も上から厳しい目で視ているに違いない。

<摺箔波>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筆 : 齋藤 康二