ぎをん齋藤
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齊藤康二

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京都東山の祇園一角に店を構えて170年余り、
呉服の専門店として自社で制作した独自の
染物・織物をこの弊店で販売しています。
ぎをん齋藤の日常からこだわりの”もの作り”まで、
弊社の魅力を余すことなくお伝えしていきます。
皆様からのお問い合わせ、ご質問などお待ちしております。

◆お問い合わせ
ぎをん齋藤 齊藤康二
TEL:075-561-1207
(Mail) gion.saitokoji0517@gmail.com

ぎをん齋藤と祇園祭り

7月1日に四条八坂神社の本殿で吉符入りから始まった祇園祭も、本日後祭りの巡行が滞りなく行われ、

京の夏の祭事が無事に終わった。

祇園祭というと”コンチキチン”と調子のよい祇園囃子が耳に心地よく、これを聞くとさあいよいよ夏の京都が始まる!

という気分になるのは京都人以外の方も同じではないだろうか。

毎年お祭り騒ぎの祇園祭だが、山鉾巡行は”ユネスコ”にも登録された「世界無形文化財」でもあり、

この祭事の起源は約1200年前、平安時代前期、869年に遡る。

当時、京都で流行った疫病を鎮めるために神泉苑で66本の矛(ほこ)をつくり、八坂神社で祈願したことが始まり

とされる歴史ある厄払いの祭事だったのが、いつのまにやら「祇園祭=浴衣とお祭り」という風潮になり、

いいのやら、悪いのやら、、、我々もその恩恵を少なからず受けていることには変わりはなく、複雑な思いでもある。

さて今回の祇園祭、もう一つ大きな意味があり、実は烏丸の蛸薬師通りに建てられる「橋弁慶山」の牛若丸の衣装を

3年前にある方から依頼を受け、齋藤織物で袋帯の生地を約5本使用し新調した。

袋帯:遼代裂金箔雲鶴文(10世紀遼時代の王族の墓から出土した裂図)

そしてこのコロナ禍、ようやく今回が念願の初お披露目ということになった次第である。

以前の衣装は明治初期頃の物で、生成りの糸と金糸を使い優雅に手織りで織り上げられ、

金糸は唐草文様を表現しその素晴らしさは一目でわかる、そして約200年以上経った現在、それを我々が継承し、

衣装を制作するということが、どれほど光栄な事か一言では表現できない。

この1200年以上経つ長い歴史の一役に立てたこと、我々のもの作りがこれからまた数百年残ること、

次に新調する時、それを請負う者が我々の作品をどう感じるか、、、、

もうこの世にはいないが、上からじっくりと感想を聞きたいものである。

後祭り7月24日午前9時30分~