NHKの海外向け番組「Core Kyoto」からのオファーで古裂の魅力について語る長時間インタビューを受けることになった。
何しろ初めての体験で、カメラを向けられた状態で質問に答えるのは容易では無い。さらに声帯が十分働かない健康状態で話をすること自体が辛い。
私が古裂を集め、現代のきものに生かそうとする理由を熱く語ると言うのが趣旨だが、問いに対して、うまい答えが、なかなか頭に浮かばない。
かれこれ小一時間インタビューを受けたが、終わった後ドーッと疲れが出た。後日、アトリエ(織物工房)で織物復元についても話さなければならないから、もう一度気合いを入れ直す必要がある。
私が40年間従事してきた「ぎをん齋藤」七代目当主としての仕事を纏めて映像に残す機会を得たことは、まことに幸運な事と受け止めている。
仕事だからという理由だけではなく古裂に対する愛着は人一倍強い。インタビューの最後に「齋藤さんにとって古裂とは一言でいうと何ですか?」という予想もしなかった問いに対して、私が選んだ言葉は「宝石のように輝いた物」と答えてしまった。もう少し気の利いた答えがあるだろうと反省しきりである。