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筆 : 齋藤 康二

赤い帯は好きですか?

近年特に感じるのは御所解帯に限らず、赤の色を求める方が多くなったと思う。

以前は赤色といえば”ド派手”、とあまり好まれない色目の代表的なものだったので、

当時私自身もあえて赤い帯を勧めるようなことは絶対しなかった覚えがあるくらい避けていた色である。

ではこの変化は時代の流れだろうか、または着物に対する色の概念が変わってきたのか、単に流行りか、、、

以前から、私個人的には赤は大好きな色の一つで、何より魅力的な色、人をひきつける力があり、

いろいろな着物にも合わせやすく、おしゃれにはうってつけのアイテムだと思っている。

そんな魅了的な色ではあるが、赤は赤でも我々の出す色はいわゆる絵具の赤ではない。

それは真紅に近い赤で、特に御所解染帯はその柄行に合わせて深みを加えている。

以前に色の話をしたが、色とは無限のものでありどの色調がベストか、など半永久的にわかるはずがない。

毎度悩みながら何回も試してベストと思える色調になるよう心掛けて選択している難しい作業である。

面白い話があり、ヨーロッパ地域の人とその他国籍のバラバラな人たちが赤色を何色絵具で作れるか

試してみたことがあった、結果ヨーロッパは15色、その他は5色前後だったそうである。

では何が違うのか?一つの答えは生まれた国の気候が色素の区別においてかなり

影響力がある、ということだそうである。

わかりやすく言うと季節の移り変わりではなく、日光の直接光と反射光がそれぞれの気候によって

違うため、色の見え方やとらえ方も大きく違ってくるそうなのである。

それくらい色とは微妙で繊細なものなので、そう簡単にベストな答えが見つかるわけがない。

さて、話を戻すと我々が染出す赤も細かい話をすると毎回微妙にその色調は違う、

これは当たり前のことで、人が手作業で色を配合し染めてその時の気候変動によって色の

浸透率や発色が変わってくるから違うのは当たり前のことである。

それがまたその色目のうまみであり、魅力といっていい。

機械できまった配合で量産できるものではなく、その一点一点に特徴があり、

その色に惹かれてものに出会うきっかけとなる、と私は思う。

では貴方はどんな赤が好きですか?

 

 

 

 

筆 : 齋藤 康二