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筆 : 齋藤 康二

さて、七月に入りもの作りはいよいよ袷に移る時期である。

先日もこの秋に開催する京都陳列会の「テーマ」をご紹介したが、

今、同時に新たなもの作りも進めている。

まず屏風を想像してほしい、大きな額縁に四季折々の草花が描かれた六曲一隻や

四曲一双、金箔をベースに琳派特有の豪華絢爛な世界を想像すると思う。

今回ご紹介したいのは屛風のように春夏秋冬、四季それぞれの魅力を琳派の世界で描いていく、「琳派十二四季」。

光琳から始まり、中村芳中や酒井抱一、それに鈴木其一といった江戸時代中期から後期の琳派を代表する画家の

作品をモチーフに、その魅力を染帯という形で再現し、日本の四季を感じていただきたいというのが主旨である。

また、このテーマには”静と動”という第二のテーマがある。

それは題材となる絵には必ず”鳥”が描かれているということ、琳派の巨匠たちがとらえた一瞬の美、

自然界における瞬間「静と動」、その美の境地をどれだけ生地の上に表現しきれるか、

これは私に課せる挑戦として、その緊張感を厳密に描写していくと決めた課題でもある。

9月~12月、1月~5月と区切りをつけ、表現は正しくないがまずは四曲一隻、

または秋と冬三曲一双として、これからの会でお披露目できればと考えている最中である。

 

 

 

筆 : 齋藤 康二