この春からぎをん齋藤はようやくすべての催事を再開し、またエンジンに火を入れ直して再スタートである。
そのためもの作りに関しても各職方へ染め出す点数を少しづつ増やし、平時の状態に戻していかなければならない、
なぜならこのコロナ禍で職方も大きな損害を受け、存続さえ危うい職人も出てきているのが現状だからである。
また何より大きな問題は、職人の伝統技術は本人以外即戦力として代わりが効かない、そして後継者の育成にも相当の時間と
費用がかかり、志す人材も減少しているという実態がこの数十年の間に浮き彫りとなってきた。
とりわけ我々がお付き合いさせていただいている職人は専門分野にとどまらず、あらゆる分野で才能を発揮され
そのセンスと技術は唯一無二、繊細な仕事は彼らにしかできないほど貴重な存在なのである。
ここ数年、彼らに骨のある仕事を出せなかったことはしっかりと反省しなければならないと思っている。
御年65歳、金彩を専門とする傍らあらゆる材料を使いこなし芸術的な仕事をする
彼もエリート集団(職人)の一人、美術をこよなく愛し、20代の頃は一日9時間
毎日デッサンをしていた。
この摺箔の中の細かい描き絵にも注目していだたきたい、すばらしい仕事である。