女将の思い出 / 

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筆 : 女将

私の平日は、朝八時四十五分には店に行き、店内及び外周辺の掃除を完了した社員と朝礼をしながら、私は社員の健康状態を視認します。

午前中は一日の仕事の段取りを決めて職人さん達への仕事の配分、指図などしながら、顧客の希望、期待に応えるための新しい作風や図案等を熟慮します。

週末になると仕事から解放されて自由な時なので、たまには気分を変えて心持を一転して、洋服から着物に着替えて友人たちとお出かけですが、仕事中の着物からお遊びの着物に変えます。手元の着物選びは実に浮き浮きと「あれや、これや」と、派手になったとかまだ着れる…などと、組み合わせが楽しいひとときです。

現代、多くの女性が仕事と家事、育児を両立させて社会で活躍していますが、そのような女性は高学歴、高能力で社会的地位も高くなり、管理職にも就き、それに伴う高収入により自立して来ました。そのような女性たちがやはり私と同様に週末になると気分転換に着物をお召しになり「いつもと違う自分!」に変身してお出かけして、仕事への英気を養う姿を最近見受けられるようになりました。

この様な女性たちは気分転換の時間配分について男性より計画性も有り、積極的、そして現実的に実行しているように感じます。

私の幼少期に比べて時間の流れ去っていく速さの違いを想う時、現代女性の実行力が無いと、やはり、時間の速さと社会の競争力についていけないのでしょう…。

私のように人生の後半に来るとその気分転換が体力、気力に大きく作用するので、同じ世代の人々と比較して格差が生じて来る気がします。これは私の実感です。

さあ、次の週末はこの一組を着て、出かける事に決めました。

着物:紬 扇面桐絞り    帯:二部式 桃山藤絞り

筆 : 女将