- 生成り地
- 生地:雲井
- 訪問着
ぎをん齋藤の看板商品とも言える刺繍を施した染物。
特に「桃山縫箔(ももやまぬいはく)」に関しては弊店ならではの贅沢な逸品である。
今回のモチーフは16世紀半ばの雲取桐菊縫箔小袖、室町から発展した能楽の影響もあり
桃山の縫箔は小袖から能装束へと姿を変えていくのである。
その縫いの技法をそのまま使い、今回は当時と同じ地色の生成り地で
能装束そのもの、雲取に桐菊縫いを表現した。



さて、いかがでしょうか。
生地に張り付くように整然と縫い上げられた刺繍、このように一糸乱れず
針足を柄に合わせて整え糸の配列も生地目に沿うように置いていく。
一本の細い絹糸を裂いて、その半分を使って縫い上げる職人の手仕事。
桃山の縫いを表現する技術はその職人の熱意と才能が成せる技であり、
約500年の歴史を遡りその美を復活できるのも、
技術や美の伝承が今も続いている証、正に日本の伝統そのものである。
その伝統と歴史をもとに染織という工芸品、作品を作っていくことが
我々の使命であり、それが日本の美を絶やさない結果につながると信じている。