ぎをん齋藤
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齊藤康二

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京都東山の祇園一角に店を構えて170年余り、
呉服の専門店として自社で制作した独自の
染物・織物をこの弊店で販売しています。
ぎをん齋藤の日常からこだわりの”もの作り”まで、
弊社の魅力を余すことなくお伝えしていきます。
皆様からのお問い合わせ、ご質問などお待ちしております。

◆お問い合わせ
ぎをん齋藤 齊藤康二
TEL:075-561-1207
(Mail) gion.saitokoji0517@gmail.com

まもなく5月

先日、京都にも非常事態宣言が発出され、どこもかしこも

臨時休業の張り紙が貼られ、シャッターが下ろされています。

街の声は様々、しかし個人的には遅い!というしかない。

ま、今回も政策の急な変更をまやかすための発出だったのだろう、、、

と思わざる得ないタイミング、間の悪さが露呈したかたちとなった。

とにもかくにも、一律10万円の給付は国民の怒り、不満の矛先を

わずかながらも逸らしたのではないでしょうか。

暦はもう4月後半、まもなく5月です、今年のゴールデンウイークは

国民の大半が自宅で過ごすこととなるでしょう。

本来この時期は観光客でごった返す京都ですが、今年は静かな、静寂とした

日々になりそうです。

皆さんはこの連休、どう過ごされますか?

何も予定はない、どうしていいかわからない、、、

という方も多いでしょう、私もその一人です!

さて、どうしましょう、毎日パソコンとにらめっこでしょうか。

でもせっかくですから、普段は忙しい家族とたまには一家団欒、

この機会によりいっそう絆を深めてはいかがでしょう。

家族でテーブルを囲って食事をしながら、思い出話に花を咲かせる

なんていうのもいいですね。

政府に対する愚痴や不満話もいいかも、、、(笑)

もしくは美しいものを見て気を紛らわしてください。

とにかくストレスをあまりためず、適度な運動と家族団欒、健康でいきましょう!

 

こちらは宗達の菖蒲図をモチーフに制作した訪問着の上前です。

生地は駒無地という光沢のある、つるんとした質感で、生成りなど薄い地色の

染め上がりは織の特徴からも、他のものに比べずば抜けて良い風合いに仕上がります。

柄は琳派の流れを忠実に再現するため、柳から菖蒲、八つ橋、流水とその絵の中に

配置した一つ一つの柄が、空気や存在感を感じさせるような工夫をこらしています。

特に、バックの柳と手前の菖蒲の色彩に注目してください、同じ緑の配色ですが、

後ろの柳には比較的濃度の薄いものや単色でぼかしのしてあるものが多く使われて

いますが、手前の菖蒲には緑の濃淡から、茶色を混ぜたものや、力の強い色など、

多種多様な緑色で配色してあります。この淡彩と多彩、色数の差やそこに菖蒲の紫、

白が入ることによって遠近法が作用し、絵の中に空気や空間といった目には見えない

感覚が生まれてくるのです。

この目には見えない感覚が柄全体の奥行や深さといったものにつながり、

観るものを飽きさせない、魅力の要素、味になるのです。

絵画や水彩画、着物の柄、そしてあらゆる美術、芸術には一見、目には見えない計算や

工夫が数多く仕込まれ、存在していて、それらのエッセンスを観るもの、纏うものが

嗅ぎ取ることによって魅力を感じ、美の共感へと誘うのではないのでしょうか。